突然「発達障害の疑いがあります」なんて言われて、驚いたり慌てたり。
いろんな疑問も湧きます。
そもそも「発達障害」ってどう診断されるもの?
治ったりするの?
結論から言うと、障害の特性が「治る」ということはないと思います。
が、社会適応しながら発達することは可能です。
幼いころはなかなか集団に馴染まない子も、成長するにつれて少しずつ馴染んでいくことは可能です。
気になる診断名も、発達の段階によって変わることもあります。
ここではまず、診断名がつく仕組みについて見ていきますね。
診断名って気になることなのに、案外テキトー(!?)というか、恣意的なものだと筆者は感じます。
診断名のつけ方を知ると、診断名に縛られてムダに落ち込む必要なんてないことが分かってきます。
いろんな診断名があり得る!?
私の息子の場合だけでなく、周りのお母さんたちからも聞くお話。
医師によって診断名が異なるのです。
私の息子の場合、4歳でついた診断が、「広汎性発達障害 知的障害」でした。
※今は「広汎性発達障害」はあまり使われない傾向にあります。
代わりに「自閉症スペクトラム」「自閉スペクトラム症」などが使われます。
他の病院では、「自閉症スペクトラム傾向」、「多動傾向」
また別の心理士の先生は、「この子は自閉症です」と言い切り、
ある療育の言語の先生は、
「この子の知的な遅れは、3年生くらいからもっと遅れが出ます」
別の医師は、
「この子はだんだん追いついてくる。
苦手なところも得意分野につられて伸びるから、安心してね」
専門家によって、言うことが全然違うのです。
これには混乱しました。
他のお母さんから聞いたお話でも、似た経験を聞きました。
お子さんを診たある医師は、
「この子は自閉症ではない。情緒障害の一種です」といい、
また別の医師は、ハッキリと
「この子は自閉症です」とおっしゃったそうです。
全然違うことを言われると、結局なんなのか混乱しますよね。
では、どうやって「診断」がつくのでしょうか。
診断名のつけ方
私の息子に最初についた診断は、「発達障害、知的障害」というものでした。
幼稚園での特別支援の手続き上、診断書が必要になったのです。
そのときは、とてもあっさりと診断がつきました。
2つの根拠からでした。
発達検査
ひとつは、KIDSという発達検査。
これは保護者が解答する形式の検査です。
小冊子になっていて、質問が書いてあるので、○×でどんどん解答していきます。
(発達検査についてはこちらにまとめてあります)
検査結果は、息子が4歳4ヶ月で、「2歳9ヶ月の発達年齢」という結果でした。
一番遅れていた項目が「対子ども社会性」という項目。
これは1歳11ヶ月の判定でした。
全体的に遅れていましたが、こんなふうに、実年齢に対して大幅に遅れている項目もいくつかありました。
もうひとつの診断の根拠は、医師の診察でした。
医師の診察
息子は当時、ほとんど言葉が出ませんでした。
当然先生との会話のやり取りもできません。
「今日は、なにで病院に来たの?」
医師の質問に、息子は無言でした。
「なにで」が「手段(電車・バス・タクシーなど)」だと分からない様子でした。
先生は、さらに続けます。
「電車で来たんだよね。どこで、乗り換えたの?」
息子は、乗り換えの駅名を言えませんでした。
というか、語彙の少ない息子は“乗換え”という言葉を知らなかったのです。
「乗り換えって何?」なんて先生に聞けるはずもなく、息子はただ無言でした。
質問が理解できていないと判断した先生は、
今度は質問の種類を変えます。
「これは、何?」系の質問です。
「これは、何?」と、先生が指すものを見て、息子はいくつか答えることができました。
●「これは何?」→「えんぴつ」
●「これは何?」→「めがね」
などです。
・発達検査(4歳4ヶ月当時で、2歳9ヶ月という結果)
・診察時のやり取り
この2点から、診断名がつけられました。
医師によって考え方が違うこともあるのですが、
その先生は「受けられる支援をどんどん受けると良い」という方針でした。
幼稚園で特別支援の先生をお願いできるなら、お願いしたらいい、と必要な書類を書いてくださいました。
それまでは、「広汎性発達障害の疑い」というゆるい診断名だった息子に、はっきりと診断がついた日でした。
発達障害の診断を受けるメリット
「発達障がい」の診断。
診断をきちんとつけてもらうと、メリットがあるのでしょうか。
結論から言うと、診断をつける場合、母親(保護者)が楽になることが一番のメリットだと私は思います。
それまで、周りと同じことができない我が子に悩んでいる場合が多いからです。
診断をつけるにしろ、つけないにしろ、
いずれも、母親(保護者)の気持ちの安定が一番のメリットだと思います。
私自身、息子の障害をハッキリさせる抵抗感から、ずっとうやむやなままにしていました。
3歳前から療育に通い、発達の病院にかかっていても、です。
きちんと診断をつけることで、息子の障害を確定させてしまう。
気持ちが追いつかなかったのです。
お母さんのモラトリアム期。
しばらくあってもよいのではないか・・・
いえ!
あってもよい、どころか、しばらくあるのが普通ではないかと思います。
障害を受け入れられないと感じる場合については別にまとめますね。
ところがです。
息子にハッキリとついた診断名ですが、これが変わっていくことになります。
診断名の変化・・・知的障害が治る!?
診断は発達検査の結果と医師の診察から、
とういことは、
●検査結果が変われば
●医師の見立てが変われば
診断名が変わる可能性がある、ということなのです。
私の息子はその後IQ「だけ」が伸びました。
あまり話せないのは変わらなかったのですが、IQの伸びを受けて、診断名から「知的障害」の文字が消えることになります。
これは、知的障害が「治った」というわけではないと思います。
相変わらず息子との言葉のやり取りは難しかったからです。
ただ、伸びた部分が少しあったということです。
記憶とか、図形など、得意分野が、たまたま検査の日にまあまあできたのです。
療育手帳の更新が2年ごとであることを考えても、発達よって「診断結果が変わりうる」ことが分かると思います。
発達グレーゾーンの混乱
子どもの状態がなんだかよく分からないとき、
医師によって言うことが違うとき、
親としては、とても不安になってしまうものです。
この先どうなっちゃうの!?と混乱するものです。
ネット検索しても、本を読んでも、結局よく分からない。
もやもやして、よく分からない・・・、
ということは、グレーゾーンなのだと思います。
発達において「グレーだということ」。
ハッキリ障害が分かれば、覚悟は全然違うはず。
ハッキリ健常であれば、安心するはず。
言えることとして、ハッキリ「グレー」なのだと思います。
グレーだということは、「何らかの特性がある」ことを意味します。
「診断名が何なのか」というより、息子にとって、受けられる支援を受けて発達を促すのが一番良いと、今になれば分かります。
この先改善するのか、しないのか!?
そこで悩むより、今できることを淡々とやる。
これがきっと一番なのだと思います。
親としては、悩んでしまうのですけどね・・・
まとめ
とても重要なこととして「未来のことは、誰にも分からない」というのがあります。
ということは、どう転んでも大丈夫なように準備しよう!ということです。
グレーが濃くなって、ブラック寄りになっても良いように。
グレーが薄くなって、ホワイト寄りになっても大丈夫なように。
ついつい気になってしまう診断名ですが、あまり大げさに捕われず、
本人がラクに、そして周りもラクになれたら一番良いですよね。
私たち親にできることを、少しずつまとめていきます。